2025年、韓国での映画興行ランキングにおいて「鬼滅の刃 無限城編」や「呪術廻戦0」「チェンソーマン レゼ篇」など、日本のアニメ作品がトップにランクインし続けています。
一方、韓国映画の観客動員数は大幅に減少し、業界では「飢餓の年」とさえ呼ばれる苦境に直面しています。
本記事では、日本アニメが韓国で急激に受け入れられた背景と、韓国映画が支持を失った構造的な理由を丁寧に解説。さらに、注目の劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の魅力についても触れていきます。
- 日本アニメが韓国で爆発的に支持される背景
- 韓国映画が観客を失った構造的な理由
- 韓国映像業界が再生するための具体的な戦略
韓国で日本アニメが驚異的な人気を集める3つの理由
韓国で日本アニメが映画興行を席巻する背景には、単なるコンテンツ人気を超えた深い文化的・産業的な構造変化があります。
今や「オタクの文化」としてではなく、Z世代の新たな共通言語として日本アニメが受容されつつあるのです。
ここでは、韓国の若者文化、メディア環境、そして作品性の観点から、日本アニメがなぜここまで浸透したのかを3つの視点から分析します。
「キ・ジュ・トップ」が象徴する若者文化の変化とは?
韓国のZ世代を中心に、「귀멸(キメツ)・주술(ジュジュ)・톱(トップ=チェンソーマン)」と略される日本アニメ3作品が“青春の共通語”になっています。
これは単なるコンテンツの流行ではなく、個人の感情や苦悩に共感しやすい構成が、自己表現を重視する若者層の価値観と重なるからです。
特に主人公が社会に適応できず、傷を抱えながらも成長する姿は、「共感疲れ」した韓国社会において新しいカタルシスとなっています。
OTTの普及で「オタクコンテンツ」から大衆文化へ
NetflixやWavveなどのOTTプラットフォームを通じて、日本アニメは24時間アクセス可能な日常的なエンタメへと変化しました。
過去には「アニメ=子供向け or オタク文化」と見なされていた韓国でも、スマホ一つで高品質なアニメを楽しめる今、偏見は急速に解消されています。
特に「チェンソーマン」や「呪術廻戦」は、1話完結的なテンポと映像美がドラマ世代にも刺さり、母娘で一緒に視聴する層まで出てきているのが現状です。
ストーリーテリングとキャラ設計の秀逸さ
日本アニメの人気の核心には、キャラクターへの「感情移入のしやすさ」があります。
韓国ドラマや映画と比べて、日本アニメは“弱さを抱えた主人公”が中心に描かれ、その成長物語が時間をかけて丁寧に描写される傾向があります。
さらに、美術的な表現力や音楽との融合も高く評価されていて、感情を視覚・聴覚両面で体験させる点が強みとなっています。
『鬼滅の刃・呪術廻戦・チェンソーマン』が韓国興行を席巻した背景
2025年、韓国映画界において最大の話題作となったのが、『鬼滅の刃 無限城編』です。
公開わずか2日で100万観客を突破し、約1ヵ月で560万人超の動員を記録しました。
これは従来の日本アニメ映画の枠を超え、韓国国内の実写映画をも凌ぐ圧倒的な成績です。

| 作品名 | 韓国でのヒット理由 | 観客層 |
| 鬼滅の刃 無限城編 | 圧倒的な映像体験と家族ドラマ | 全年齢 |
| 呪術廻戦 0 | 恋と呪い、普遍的なテーマ+演出力 | 20〜30代男性中心 |
| チェンソーマン レゼ篇 | 裏切り×純愛の新構造、感情重視 | 10〜20代カップル層 |
「無限城編」が韓国歴代アニメ映画で最高記録を更新
『鬼滅の刃 無限城編』は、これまで韓国で公開された全ての日本映画の中で最高の興行成績を記録しました。
これまでの1位は『スズメの戸締まり』(約558万人)でしたが、『無限城編』は562万人を超えて1位の座に。
「映画館入場券統合電算網」によると、公開からわずか39日で500万を突破し、79日目には560万を越えたとのことです。
その人気の秘密は、シリーズを追ってきたファンによる「N次観覧」現象にあります。
同じ映画を2回以上観る熱狂的ファン層が多く、特典グッズの配布やコラボイベントなど、映画館での体験価値が高まったことも後押ししました。
また、劇場用として作られた高品質なアニメーションと緻密な戦闘シーンは、大スクリーンで観ることの意味を観客に再認識させました。
結果的に『無限城編』は、単なる続編ではなく、映画体験そのものを一段引き上げた作品として評価され、韓国でのアニメ映画の地位を大きく押し上げることに成功したのです。
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『劇場版 呪術廻戦 0』が示した日本アニメの底力
2022年に韓国で公開された『劇場版 呪術廻戦 0』は、累計73万人以上の観客動員を記録し、大ヒットとなりました。
同作はTVシリーズの前日譚としても位置づけられ、既存ファンのみならず新規層の取り込みにも成功しています。
ここでは、その人気の背景と物語の魅力について詳しく解説します。
“前日譚”でありながら独立した作品としての完成度
『劇場版 呪術廻戦 0』は、TVアニメ『呪術廻戦』の前日譚にあたるエピソードでありながら、初見でも理解できる構成と強烈なキャラクター描写で支持を集めました。
主人公・乙骨憂太が抱える呪いと愛の物語は、従来のバトルアニメとは一線を画す“喪失”と“再生”のテーマで、韓国の若年層を中心に共感を呼びました。
また、韓国人監督・朴性厚(パク・ソンフ)氏が演出を担当している点も話題となり、日本アニメでありながら親しみやすさを感じさせる要素となっています。
観客を魅了したバトル演出と感情描写の融合
本作のバトルシーンは、“呪術”という抽象的概念を映像としてわかりやすく表現した高精度なアクション演出が特徴です。
しかし、それ以上に評価されたのは、乙骨とリカの関係性という感情軸です。
単なるアクションではなく、「なぜ戦うのか」「何を守るのか」という心理的葛藤が、涙を誘うドラマとして描かれた点が、韓国のレビューでも高く評価されています。
ヒットの理由は“フランチャイズの設計力”
『呪術廻戦』は、TVアニメ→劇場版→続編というIP連携による長期戦略が確立されたシリーズです。
『0』の時点で主人公を変えるという構成は、“世界観そのものに魅力がある”ことを証明しています。
これは、韓国映画には少ないアプローチであり、物語の多層化・キャラクター中心の世界観設計という点で、今後の韓国IP戦略にも示唆を与える内容となっています。
「チェンソーマン レゼ篇」はホラーなのに若者支持で大成功
2025年9月に韓国で公開された『チェンソーマン レゼ篇』は、公開から2ヵ月足らずで300万観客を動員し、大ヒットを記録しました。
同作はホラーやバイオレンス要素を含みながらも、若者層に圧倒的な支持を得た点が非常に注目されています。
特に10〜20代を中心に、“泣けるチェンソーマン”としてSNSで拡散され、予想を超える反響を呼びました。
まず背景にあるのは、原作のレゼ篇がTVアニメでは描かれなかった幻のエピソードであり、ファンの期待が非常に高かった点です。
そのうえで、劇場版は「愛と裏切り」をテーマに、緻密に描かれた心理描写と衝撃的な展開を持ち合わせていて、単なるホラー作品にとどまらない深い感情の波を生み出しています。
観客レビューでも「予想以上に切なかった」「ラブストーリーだとは思わなかった」といった声が多く寄せられました。
また、興行成功のもう一つの鍵は、IMAX・4DXといった特別上映フォーマットとの相性です。
チェンソーの爆音や高速バトルが映画館の臨場感と相まって、“体験型アニメ”としてリピーターを増やす原動力となりました。
特に「N次観覧(複数回鑑賞)」を促進するような特典商法や音楽イベントが、ファン層を拡大させました。
さらに注目すべきは、メインキャラの「レゼ」が韓国ファンの間で“切ないアイコン”として独自の人気を獲得している点です。
その儚くも美しい設定が、「かわいいだけでは終わらない女性キャラクター」として共感を呼び、女性観客の支持も集めたことが他のアニメ映画との大きな違いと言えるでしょう。
韓国映画が観客を失った構造的な要因
2025年、韓国映画は“興行の冬”と呼ばれるほどの深刻な観客離れに直面しています。
『鬼滅の刃・呪術廻戦・チェンソーマン』が席巻する一方で、国産映画はヒット作の不在とテーマの陳腐化に苦しんでいます。
この章では、韓国映画がなぜここまで観客の心をつかめなくなったのか、背景にある構造的な問題を掘り下げていきます。
長期的なテーマの固定化と多様性の欠如
近年の韓国映画は、社会派ヒューマンドラマや犯罪スリラーに偏重していて、ジャンルの固定化が進んでいます。
観客の間では「どの映画を見ても、似たようなメッセージや展開で新鮮味がない」といった声が増加。
2025年上半期に公開された韓国映画の多くが“소재의 고갈(素材の枯渇)”に直面していると業界関係者は指摘しています。
さらに、視覚的な刺激や新しい世界観を求める若年層にとって、韓国映画は“語りすぎる”傾向が強く、エンタメとしての吸引力を失っているのです。
一方で、日本アニメはファンタジーやバトル、ラブロマンスなど多彩なジャンルを展開していて、毎作品ごとに異なる体験を提供していることが大きな違いとなっています。
韓国映画界が抱えるもう一つの課題は、若手クリエイターの育成不足とそれに伴う“作品の似通い”です。
新人監督の挑戦作が公開の機会を得られにくい構造になっていて、大手制作会社による“定番ヒット狙い”の企画が量産されている状況です。
結果として、観客は新鮮さや驚きを求めて国外コンテンツへと流れているのです。
名監督作品でもヒットしない「共感」重視からの脱却失敗
2025年の韓国映画界では、名のある監督の新作であっても興行的に失敗するという現象が目立ちました。
代表的なのは『新感染』で一世を風靡したヨン・サンホ監督の新作『얼굴(顔)』です。

公開初週にわずか6万人台の観客しか動員できず、「過去最低のスタート」とまで言われ、興行失敗の象徴として取り上げられました。
本作は孤独や社会的疎外をテーマにしていましたが、メッセージ性を前面に押し出すスタイルが「説教臭い」と感じられ、若者層から敬遠されたという分析があります。
また、韓国映画の多くが「共感」を重視しすぎるあまり、物語のドラマ性や意外性が希薄になっているという声も増えています。
視聴者はすでに、“共感”だけでなく“驚き”や“没入感”を求めているという点に、業界が追いついていないのです。
他にも、監督の過去の成功に依存した類似作品の乱発が飽きられる原因となっています。
創造性よりも「確実にヒットしそうな題材」を優先する企画が増える中で、視聴者との感覚的なズレが拡大しています。
日本アニメのように、予想を裏切る構成や複雑な感情の描写に力を入れる方向への転換が、韓国映画界には急務と言えるでしょう。
最新作『呪術廻戦 渋谷事変×死滅回游』が示すシリーズの進化
2025年11月、日本で順次公開されている『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』は、新章「死滅回游」の映像をいち早く楽しめる特別上映として話題を集めています。
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韓国でもSNSを中心に熱狂的なファンレビューが多数投稿されるなど、シリーズ人気の高さをあらためて証明しています。
今回は特に「渋谷事変」のクライマックスと、新章「死滅回游」1〜2話がセットで上映されるという、ファン必見の構成となっています。
“渋谷事変”の再編集がもたらす新たな感情体験
本編で高い評価を得た「渋谷事変」は、再編集によって劇場版としてのテンポや演出が強化され、特に五条悟と夏油傑の対峙シーンがスクリーンで一層際立ちます。
“失われたものの重み”を感じさせる演出が、観客に深い余韻を残します。
これにより、TV版をすでに視聴済みの層にも再び劇場に足を運ばせる力を持つ作品となっています。
「死滅回游」序章が示す呪術廻戦の新フェーズ
今回の特別上映の最大の目玉は、TV未放送の「死滅回游」第1・第2話の先行公開です。
物語はより複雑な“デスゲーム”形式に突入し、主人公・虎杖悠仁を取り巻く倫理観や信念がより試される展開が描かれます。
「이번 영화는 단순한 연결편이 아닌, 완전히 새로운 감정의 서막이다(今回の映画は単なるつなぎではなく、完全に新たな感情の序章だ)」と韓国レビューでも高評価。
“映画館で観るアニメ”の文化が定着した証
この作品は、日本アニメが韓国において“映画館で観るべきエンタメ”として完全に根付いたことを象徴する事例でもあります。
特別編集+先行上映という形式は、アニメファンをターゲットにしたマーケティングだけでなく、ライト層の取り込みにも成功しています。
今後の日本アニメ映画の戦略モデルとしても、この形式はさらに拡大していくと予想されます。
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が韓国で支持された理由
『チェンソーマン レゼ篇』は、韓国の観客にとって単なるアニメ映画ではなく、心を動かす映画体験として受け入れられました。
その成功の背景には、ジャンル融合やキャラクター性、演出力といった多角的な魅力があります。
ここではまず、なぜ本作が幅広い世代の観客に届いたのか、その物語構造から紐解いていきます。
ラブストーリー×バトルの融合で幅広い層にアピール
『チェンソーマン レゼ篇』が韓国で特に評価された点は、ラブストーリーとバトルアクションが高次元で融合している構成です。
恋に落ちた少年と、彼を裏切る運命を背負った少女というストーリーは、青春恋愛ものの文法にホラー・バトル要素を織り交ぜたことで、性別・年齢を問わず多くの観客の心に刺さりました。
「ただのアクション映画かと思ったら、胸が苦しくなるラブストーリーだった」——韓国ポータルサイトNAVERのレビューではこのような感想が多数寄せられています。
また、主人公・デンジの“恋に振り回される未熟さ”が、Z世代特有のリアルな恋愛観や感情表現とリンクして共感を生んでいます。
その結果、本来はバイオレンス寄りの作風であるにもかかわらず、「デートムービーとして観に行った」というカップル層の声も目立ちました。
このような“感情の物語”としての完成度が、本作を他の日本アニメ映画とは一線を画す作品に押し上げたのです。
「裏切り」と「正体」のテーマが韓国の観客に刺さる
『チェンソーマン レゼ篇』の物語は、単なるアクションや恋愛を超えて、「裏切り」や「正体」といった深層心理に触れるテーマで観客を魅了しました。
特に韓国では、誰かに心を開いた結果、裏切られるという構造が“現代の人間関係の不安”を象徴するものとして共感を集めています。
レビューでも「自分が信じた人が敵だった時の喪失感」に言及する声が多く見られました。
レゼというキャラクターは、“敵でありながら魅力的”という二面性を持っていて、韓国の観客に「矛盾する感情」を投影させる存在として際立っています。
彼女の正体が明かされた瞬間の衝撃と、その後に訪れる感情の空白は、予測不可能な展開を好む韓国ファン層の心に強く刺さりました。
「진심과 임무 사이에서의 갈등이 너무 현실적이었다(真心と任務の間での葛藤がリアルだった)」という感想も寄せられており、単なる恋愛や戦闘の枠を超えたドラマ性が高く評価されています。
さらに、映画のクライマックスにおいてレゼが下す選択は、“正義と感情、個人と組織”というテーマにまで昇華されていて、韓国社会での自己と他者の関係性を考えるきっかけにもなっています。
このように、『レゼ篇』は裏切りや正体というテーマを通して、観客に深い思索と感情の揺さぶりを提供する作品として特別な位置を築いたのです。
キャラクターの背景に深く迫るレビューはこちらがおすすめ
『チェンソーマン レゼ篇』をより深く味わうためには、キャラクター「レゼ」の背景や心情を詳しく知ることが欠かせません。
彼女がなぜ敵として登場しながらも、多くの観客に“忘れられない存在”となったのかは、原作と映画の両方を比較しながら理解することで明確になります。
以下のリンク先では、レゼというキャラが「ただの敵キャラ」ではなく、作品全体の感情の中心を担う存在である理由を、丁寧に解説しています。
こちらのレゼ篇の記事では、デンジとの関係や物語への影響、そしてラストシーンの意味などについて、ネタバレを含みつつ深い考察が行われています。
鑑賞後に読むことで、作品への理解がさらに深まり、レゼというキャラに対する見方が変わるかもしれません。
感情と運命が交錯する本作の核心を知るためにも、ぜひ一度目を通してみてくださいね。
ノージャパン運動を超えて:日本アニメに対する意識の変化
かつて強い社会的圧力の中で展開された「ノージャパン」運動ですが、2025年現在、若年層の間ではその風向きが大きく変わりつつあります。
特に日本アニメを含む文化コンテンツに対する受容は、政治的対立とは切り離された「個人の趣味」として認識される傾向が強まっています。
ここでは、その背景にある若年層の視点と、彼らが持つ新しい文化観について掘り下げます。
政治と文化の分離が進む若年層の視点
2025年現在、韓国の20〜30代を中心に「歴史とエンタメは別問題」という考え方が主流になっています。
NAVERなどのレビューや論壇では、「정치와 문화는 별개다(政治と文化は別)」というフレーズがSNS上で多く使われていて、若者たちは消費者としての主体性を強く持っていることがわかります。
「노재팬은 끝났고, 지금은 예스재팬의 시대다(ノージャパンは終わり、今は“イエス・ジャパン”の時代だ)」という言葉がメディアに登場するようになったのも象徴的です。
この流れを後押ししているのが、『The First Slam Dunk』などの大ヒットアニメ映画です。
これらの作品は“日本アニメ=サブカル”という枠を超え、「友達と一緒に観に行く大衆映画」として浸透しています。
その結果、もはや“アニメを見る=反社会的”という偏見は過去のものとなり、韓国の若年層のライフスタイルに自然に溶け込んでいるのです。
「The First Slam Dunk」で開いたアニメの大衆化ルート
『The First Slam Dunk』の韓国での成功は、日本アニメがマニア層だけのものではなく、“劇場で観る大衆映画”として定着したことを示す象徴的な出来事でした。
本作は2023年の公開ながら、400万人以上の観客を動員し、韓国で歴代日本アニメ映画の観客数ランキング2位を記録しています。
「더 퍼스트 슬램덩크는 일본 애니메이션에 대한 한국인의 시선을 완전히 바꿔놓았다(The First Slam Dunkは日本アニメに対する韓国人の見方を完全に変えた)」と評価されています。
その理由として、90年代に原作漫画を読んで育った世代が劇場に足を運び、次世代に伝える“家族共有型コンテンツ”になった点が挙げられます。
また、当時の青春や努力、仲間との絆を描いた物語は、どの世代にも共感を呼ぶノスタルジーと現代性を兼ね備えていることも成功要因です。
注目すべきは、吹き替え版と字幕版の両方が支持された点です。
子どもと一緒に観る層は吹き替え、原作ファンや若者は字幕版を選ぶという視聴スタイルが、多層的な観客の動員を実現しました。

このように、『The First Slam Dunk』はアニメ映画が“誰でも楽しめる文化”であることを証明し、日本アニメの大衆化ルートを韓国で切り開いたのです。
今後の韓国映画界が取るべき打開策とは?
2025年の韓国映画界は、観客動員数・売上ともに前年より大幅に減少し、“ポストKムービー黄金期”の限界を露呈しました。
大作に頼った制作構造の限界が明らかとなり、中規模映画や実験的な作品の台頭も見られる中で、いま求められているのは新たな戦略です。
ここでは、映画産業再生に向けた有効な打開策について掘り下げていきます。
グローバル視点とジャンルの多様化の必要性
まず最も指摘されているのが、ジャンルの固定化と過去の成功体験への依存から脱却する必要性です。
韓国映画の多くはスリラーやヒューマンドラマに偏っていて、観客にとって“また同じような作品”という印象を与えてしまっています。
それに対し、日本アニメやハリウッド作品は、SF・恋愛・アクション・ファンタジーといったジャンルの多彩さで観客の好奇心を惹きつけています。
また、グローバル市場を見据えた企画開発も急務です。
現在の韓国映画は、韓国国内向けの社会性や文化コードに依存しすぎていて、海外市場では共感を得にくいとの指摘があります。
一方、『寄生虫』や『ミナリ』のように“普遍的なテーマ”を扱った作品は、グローバルな評価を獲得しました。
このような現状を打破するには、OTTと連動した国際共同制作や、マルチリンガル対応のシナリオ開発が必要です。
ジャンルや視点、ターゲットの多様化を進めることこそが、韓国映画界が生き残るための鍵になるでしょう。
アニメから学ぶIP戦略と物語の魅せ方
2025年現在、日本アニメは単なる映像作品にとどまらず、IP(知的財産)戦略の成功モデルとして、世界中のコンテンツ業界から注目を集めています。
特に『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』のような作品は、アニメ→映画→グッズ→イベント→ゲームと多方向に展開されることで、ファン層を拡大し続けています。
「귀멸의 칼날 콘텐츠의 IP 파워는 단순한 애니메이션을 넘어 브랜드 전체를 움직이는 경제적資産으로 작동한다(鬼滅の刃のIPパワーは、アニメを超えてブランド全体を動かす経済資産として機能する)」と韓国メディアも報じています。
韓国映画との大きな違いは、最初から“IPとして育てる”ことを前提に企画が立てられている点です。
物語自体に「続編が可能」「派生作品が作れる」「キャラクターがグッズ化できる」といった拡張性が組み込まれていて、一度のヒットで終わらず長期的に収益を生む構造が確立されています。
また、作品の“物語の魅せ方”にも徹底した工夫があります。
視覚的演出や音響効果の緻密さに加え、“キャラの内面描写”を中心にした感情設計が共感を呼び、SNSを通じて自然にバズが起こる流れが作られています。
韓国映画が今後生き残るには、IPという視点で物語を企画・育成する戦略へのシフトが不可欠となるでしょう。
日本アニメ 韓国 人気と韓国映画 飢餓の対比から見える今後の展望まとめ
日本アニメの成功は韓国だけでなく、東南アジア・北米・中南米でも再現されています。
言語・文化の壁を越えて届く“共感と普遍性”が、いま世界中で求められているエンタメの本質かもしれません。
2025年、韓国の映画館では『鬼滅の刃 無限城編』『呪術廻戦 0』『チェンソーマン レゼ篇』といった日本アニメが大ヒットを記録する一方で、韓国映画は「飢餓の年」とまで呼ばれる不振に苦しんでいます。
このコントラストは単なる一時的な流行や偶然ではなく、コンテンツ戦略の成熟度と時代への適応力の差を如実に示しているのです。
本記事で取り上げた要素をもとに、今後の韓国映像業界の可能性と課題をまとめます。
まず、日本アニメの成功要因は、ジャンルの多様性・IP戦略・キャラクターの物語性など、長期的なビジョンに基づいた構築にあります。
さらに、「裏切り」「正体」といった深いテーマ設定が観客に情動的な体験を与え、SNSやコミュニティでの共感を呼ぶ仕組みが確立されています。
一方で韓国映画は、政治性や社会的メッセージに偏りがちな内容が、若年層の関心から外れているという課題があります。
これからの韓国映画界が再び飛躍するためには、以下のような戦略的な見直しが必要です。
- ジャンルとテーマの多様化によって観客の“選ぶ楽しさ”を提供する
- 国際市場を意識した企画と“感情に訴える物語”の強化
- IPとしての中長期的展開を見据えた制作体制の構築
最後に重要なのは、「観たい作品がないから映画館に行かない」という現象をどう打破するかです。
日本アニメのように、一つの物語が世代や国境を越えて語られるような熱量を生む作品が、今の韓国映画には求められています。
韓国映画が再び映画館の主役となるためには、まさに“日本アニメから学ぶ時代”に突入しているのかもしれませんね。
今後どのように改善され、日本のような人気アニメが制作され公開されるのか楽しみです。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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